大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 平成3年(ワ)1078号 判決

大阪府〈以下省略〉

原告

右訴訟代理人弁護士

北岡満

右訴訟復代理人弁護士

三木俊博

櫛田寛一

関根幹雄

吉田之計

黒瀬英昭

吉田実

荒井俊且

山崎敏彦

東京都千代田区〈以下省略〉

被告

大和証券株式会社

右代理者代表取締役

右訴訟代理人弁護士

松嶋潔

堀弘二

浦野正幸

主文

一  被告は原告に対し金一九三万七九六四円及びこれに対する平成三年一一月一四日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを八分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

ただし被告が金三〇万円の担保を供するときは右仮執行を免れることができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は原告に対し金一〇二二万一一三一円及びこれに対する平成三年一一月一四日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行の宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

3  担保を条件とする仮執行免脱宣言

第二当事者の主張

(請求原因)

一  錯誤による不当利得返還請求

1 原告は被告会社から、同会社阿倍野支店営業担当社員B(以下Bという)の勧誘により次のとおり新株引受証券(以下本件ワラントという)の買付をし、代金合計金一〇三八万六一二五円を支払った。

(一) 昭和六三年一二月一三日十條製紙五〇、〇〇〇ドル

買付金額二四六万二〇〇〇円

(二) 同年一二月二〇日日本ゼオン二五〇、〇〇〇ドル

買付金額七九二万四一二五円

2 原告はBの勧誘により、本件ワラントが転換社債類似の債券であると信じて右買付けをしたが、事実はリスクの大きい新株発行引受権であることがわかった。従って原告の買付の意思表示はその要素に錯誤があり無効である。

二  不法行為による損害賠償請求

1 原告は別紙取引一覧表のとおり被告会社と昭和六一年四月ころから転換社債、投資信託等の現物株式あるいはこれに準じた商品の取引をしてきた。

2 ところが、Bは、原告に対し、これとは全く異質のハイリスク、ハイリターンのワラントの購入を勧誘し、(1)ワラントは新株引受権付社債が発行された後の新株引受証券と社債券が分離された場合の新株引受証券の一部であること、(2)ワラントには権利行使期間があり、その期間を経過すると無価値となること、(3)ワラントには権利行使価格が予め定められ、その価格以上に株券が値上りしないと権利行使の意味がなく、株価が一定以下に下落するとワラントは殆んど買い手がつかず値打がなくなること等リスクの高い商品であることについて事前に書面又は口頭による説明をしないで、

(一) 昭和六三年六月一五日ころ「ニチメンのワラント債を買って下さい。転換社債と少し違うが、それよりも値上りが大きく期待できる商品で間違いありません。五万ドル用意してあるので一八〇万円くらい六月二一日までに銀行へ振込んで下さい。」と言って勧誘し、原告はこれを一七八万一五〇〇円で買付けた。(後日五三万一三一〇円の利益を得た。)

(二) 同年一二月一〇日ころ「ニチメンのワラント債は売りごろです。明日売ります。今回は十條製紙のワラント債ですが、今度はドル安ですから為替相場には余り左右されず前回より大きく儲かります。一流会社の債券ですから勿論問題ありません。預かり金もありますし、これで五万ドル買うて下さい。」と言って勧誘し、原告をして前記一の1の(一)の買付契約を締結させ、被告会社に金二四六万二〇〇〇円を支払わせた。

(三) 同年一二月一八日ころ「日本ゼオンのワラント債ですが、前回の額では面白みがありませんからもっと大きく儲けて下さい。今買っておけば必ずもっと取れますよ、私に任せて下さい。必ず喜んで頂けますよ。」と言って勧誘し、原告をして前記一の1の(二)の買付契約を締結させ、被告会社に七九二万四一二五円を支払わせた。

(四) Bの右(一)ないし(三)の行為は、証券取引法四七条の二(説明書の交付)、五〇条一項一号(断定的判断の提供)、五号(虚偽表示。誤導表示)、公正慣習規則九号五条、四号一〇条四項(外国新株引受券証書については顧客との間の店頭取引は、顧客が希望し、かつ、自社がこれに応じる場合にのみ行うことができる。)等の法規に違反し、違法である。

3 右十條製紙及び日本ゼオンのワラントはその後値下りし、原告は十條製紙につき金六五八円、日本ゼオンにつき金一六万四三三六円で精算した。

4 その結果、原告は十條製紙ワラントと日本ゼオンワラントの合計購入金額一〇三八万六一二五円からその精算代金合計一六万四九九四円を差引いた金一〇二二万一一三一円の損害をこうむった。

三  よって原告は被告に対し(1)錯誤による無効を理由とする不当利得返還請求として、(2)不法行為(民法七〇九条七一五条)に基づく損害賠償請求として金一〇二二万一一三一円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成三年一一月一四日から支払いずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

(請求原因に対する認否)

一  請求原因一の1の事実は認める。

二  同一の2の事実は否認する。

三  同二の1の事実は認める。

四  同二の2について

1 同二の2の(一)ないし(三)の取引をしたことは認め、勧誘文句は否認する。

ワラントは新株引受権付社債(ワラント債ともいう)のうちの新株引受権の部分を分離し、予め定められた権利行使期間内に権利行使価格で権利行使株数の新株を引受ける権利を証券化したものであり、権利行使期間を過ぎると無価値となることは認めるが、ワラントが転換社債や投資信託と異質のものであるとの主張は争う。ワラントの価格は原則として現物株式の値動きに連動して上下するものであり、新株を取得できる権利である点は転換社債に類似し、将来株価が値上がりするか否かを見きわめることが銘柄の選定や投資態度の決定等において最も重要な要素となる点において株式取引に類似している。

Bは、ワラントの特徴やそのリスク等について口頭で十分説明し、原告の理解を得て本件ワラント等の買付がされたものである。

各ワラントの買付直後に売買報告書、預り証を原告に交付しているが、これら書類には「新株引受権証券」の取引であること、権利行使期限の年月日等が記載されている。

2 Bが、原告にワラントの投資勧誘にあたり「ワラント債」と述べたことは否認する。

3 説明書の交付確認書の徴求をしなかったことは認める。

ワラント取引は、証券取引法四七の二の先物取引、オプション取引に該当しないから同法違反の主張は失当である。

原告との間でワラント取引のなされた昭和六三年一二月当時は公正慣習規則第九条は実施されていなかったから同規則違反の主張は失当である。

4 説明義務違反について

Bが、行使期限の説明をしなかったとしても、当時株式相場は値上り基調が強く、数年先の行使期限が問題となる前に売却できると期待できる状況であったこと、本件ワラント買付当時には、外貨建ワラントの商品内容が新聞紙上で紹介され、会社四季報にもワラントの行使期限が掲載されていたこと、ワラントの預り証には「権利行使最終日」としてその年月が記載されていたが、原告はニチメンワラントの売買のさいこれを重視していなかったこと等の事実に照らせば、Bがワラントの勧誘にあたり、「権利行使最終日」があることから生ずるワラントのリスクを重視しないと考えこれを説明しなかったとしても、ワラントに関する商品内容の説明が不十分であったと解することはできない。

原告は、ワラントについて、商品内容として危険性が高かったとしても、問題のワラント銘柄については当時の相場状況から値上りの可能性が高いと判断し、これを買付けたものであるから、ワラントの一般的な商品内容やリスクに関する説明は、原告のワラント買付の判断と関係がなく、仮にその説明が十分でなかったとしても、問題のワラントの買付によって生じた損害と相当因果関係がない。

なお、被告会社は、平成元年一〇月下旬ころ原告に外貨建ワラントの取引説明書を送付したが、その後平成二年二月中旬ころまでに売却していれば、本件日本ゼオンワラントは利食いすることができ、本件十條製紙ワラントについても売買損の金額はもっと少くてすみ、本件損害金額には至らなかったものであり、本件損害金額は本件ワラントの買付によってではなく、原告がその売却時期を逸したことによって発生したものである。

5 断定的判断の提供について

Bが、「一流会社の債券ですか勿論問題ありません、大きく儲かります。」と述べたとしても、ワラントの投資勧誘にあたり、それが騰貴することの断定的判断の提供をしたことにならない。

断定的判断の提供に該当するかどうかは、一連の勧誘行為全体の流れの中において、当該言動がどのような意味をもつかを検討し、これが、投資家が当該取引に伴う危険性について正しい認識を形成する妨げになったかどうかを評価して判断すべきであり、単に使用された言葉・表現内容のみによって決めるべきものではない。

6 虚偽表示・誤導表示について

権利行使期間を過ぎると紙くずになることを告げないことは証券取引法五〇条一項五号の「表示」に当らない。

Bがワラントのことを転換社債と同様のものと述べたことはない。

7 公正慣習規則違反について

日本証券業協会が定めた自主規制である公正慣習規則違反が直ちに不法行為を構成しないし、九号五条はワラントには適用されず、同四号一〇条四項は投資勧誘行為に関する規定ではない。

五  同二の3の事実は認める。

六  同二の4は争う。

(抗弁)

仮に原告がワラントを転換社債類似のものと誤信していたとしても、原告は、約三〇年以上の長期にわたり複数の証券会社と取引を継続し、株式やその派生商品である転換社債、投資信託などを売買してきたのであって、証券各社からの情報を得ていた外、日本経済新聞を購読していたからワラントの買付当時、自らの投資限度を決定するに十分な知識、経験を有していたのであるから、ワラントが転換社債とは異なるものであることは容易に判別しえたはずであるのに、これを誤解してワラントの買付をしたのは原告の重大な過失である。

なお、投資者は、自らの責任で、当該取引に関する危険性の有無・程度あるいはその危険に耐えるだけの財産的基礎を有するかどうか等を判断し、当該取引への参加・不参加あるいは参加する場合の取引内容等を決定しなければならないのであって、その結果、利益が出た場合は自らの利得としてこれを取得できる代わりに、損失が生じた場合は自らこれを負担し、他に転嫁することはできない(自己責任の原則)。

(抗弁に対する認否)

抗弁事実は否認する。

自己責任の原則には二つの基本的前提が含まれている。第一はこの原則が妥当する主体からみた問題であり、証券市場に参加する投資家は適切な情報が与えられさえすれば自ら投資判断をなしうる者であるということであり、第二は、投資家に対して正しい内容をもち、かつ、十分な質と量を備えた情報が与えられ、その情報に基づいて投資判断ができることである。本件ワラントの取引は右いずれの点からも自己責任の原則は妥当しない。

第三証拠

本件記録中の証拠目録記載のとおり

理由

(錯誤による不当利得返還請求について)

一  請求原因一の1の事実は当事者間に争いがない。

二  成立に争いない甲第二九号証、第四九ないし第五一号証、乙第八号証、第一三号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる乙第四、五号証、官署作成部分の成立に争いがなく、その余の部分につき弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第六号証の一及び証人Bの証言、原告本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。

1  原告は、昭和三八年ころから野村証券など複数の証券会社との間で株式、投資信託、転換社債等の取引をし、特に転換社債についてはその商品の内容を十分理解していた。そして原告は投資にあたっては終始慎重な態度をとってきた。

2  原告は日本経済新聞を購読し、本件ワラントの買付当時同新聞に外貨建ワラントの商品内容の説明記事が掲載されていた。

3  本件ワラントの買付に先立ち、原告は被告会社からニチメン・ワラントを購入しており、そのさいBは原告に対し、(1)ワラントは新株引受権を証券化したもので、予め決められた行使価格で株式を買取ることができること、(2)ワラントの価格は株価に連動するが、それよりも値動きが大きいこと、(3)ニチメン・ワラントはドル建商品であること等の説明をした。

4  その結果原告はニチメン・ワラント五万ドルを買付け、被告会社はその「売買報告書」と「預り証」を原告に送付した。右「売買報告書」には買付証券が「新株引受証券」であることが記載され、「預り証」には「権利行使最終日」が記載され、「利払日」、「利率」、「償還年月日」欄が抹消されていた。

5  日本証券業協会は、外貨建ワラントについて平成元年四月一九日「説明書の交付、確認書の徴求」の制度を定めた。そこで被告会社は右説明書と確認書の用紙を原告に送付したが、原告は「値下りしたので一筆とっておけ」という趣旨と考えて確認書の返送をしなかった。

6  被告会社は、平成元年、二年、三年とワラントの説明書を送付した。

7  Bは、原告に対し平成二年三月、同年一二月から翌平成三年一月まで、同年四月の三回原告の問い合わせに答えて本件ワラントの価格を知らせ、ワラントについてのパンフレットを送付した。同年五月には原告の事務所を訪問してワラントについての詳細な説明をした。そしてその後も毎週本件ワラントについての価格を原告に連絡していた。

8  ところが、原告は平成三年八月二七日内容証明郵便により被告会社に対し買付代金の返還を求めた。

三  右事実によれば、原告は、長い投資経験と投資情報及びBからの説明によりワラントについての大略の認識を得た上で本件ワラントとの買付けをしたものと認められ、その認識が十分でなかったとしてもそれが買付の意思表示の重要な要素となっていたとは認められないし、仮に錯誤があったとしても原告の重大な過失によるものというべきであるから錯誤による無効の主張は採用できない。

(不法行為による損害賠償請求について)

一  請求原因二の1の事実は当事者間に争いがない。

二  同二の2について

1  原告が被告会社からニチメン・ワラントと本件ワラントの買付をしたこと、ワラントは新株引受権付社債のうちの新株引受権の部分を分離して証券化したものであり、予め定められた権利行使期間内に、定められた権利行使価格で権利行使して新株を引受けることができ、権利行使期間を過ぎると無価値となり、ハイリスク、ハイリターンの商品であることは当事者間に争いがない。

2  原告本人は、本件ワラント等の買付のさい、Bが「ワラント債」の購入を勧誘したと供述するが、これは証人Bの証言に照らし信用できない。

3  説明義務違反について

(一) 事前に説明書の交付、確認書の徴求をしなかったことについて

証券取引法四七条の二の取引にワラント取引は当たらないし、公正慣習規則九条は本件ワラント取引時点において実施されていなかった(乙第一号証)から、その違反の主張は失当である。

(二) Bの説明について

前記(錯誤による不当利得返還請求について)二に認定の事実及び証人Bの証言によれば、Bは原告に対し本件ワラントの取引前のニチメン・ワラントの勧誘のさい、(1)ワラントは新株引受権を証券化したものであり、(2)値動きが大きく、株が一割上れば三割上り、一割下れば三割下るというようにハイリスク・ハイリターンの商品であること、(3)行使価格があること、(4)ドル建商品であること等を電話で説明したことが認められ右認定に反する原告本人尋問の結果は信用しない。ワラントには行使期限があることについては、証人Bは、「ワラントの商品内容の説明としては行使期限のことも触れる。原告にも説明した可能性はあるが、はっきり記憶していない。期限までに約五年の期間があったので特に問題とならなかった。」と供述している。そしてニチメン・ワラント及び本件ワラントの「預り証」には「権利行使最終日」が表示してある。

しかしBが原告に対しワラントの行使期限の意味、行使期限経過により無価値になることについて、原告が納得しうるに足りる説明をしたものとは認められない。「預り証」に権利行使最終日が表示してあっても、通常これを認知し理解することは困難というべく、これによってこと足れりというわけにはゆかない。

原告が投資経験が長く、転換社債、投資信託等についてかなりの知識を有していたとしても、Bの説明は右の点において十分とはいえない。したがってBの原告に対するニチメン・ワラント及び本件ワラントの勧誘は説明義務違反として包括して違法であり不法行為を構成するものというべきである。そしてその説明義務違反と原告の本件ワラントの買付との間に因果関係がないとはいえない。

4  断定的判断の提供について

原告は、Bがニチメン・ワラントの勧誘のさい社債やから、一流会社やから「絶対安全で値上りが期待できる。」等と言ったと述べるが、これは証人Bの証言に照らし信用できず、Bは、同時にそのさいワラントの商品の説明として値動きが大きく、株が一割下れば三割下る等の説明もしているから、Bの右の言葉のみをとらえて断定的判断の提供と認めることはできない。その外にBが断定的判断を提供したことを認めるに足りる証拠はない。

5  虚偽表示・誤導表示について

原告本人は、Bが取引の対象となる商品が「ワラント債」であり、転換社債と似たようなものであると説明した旨供述するが、右供述は証人Bの証言に照らし信用することができず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

6  公正慣習規則違反について

公正慣習規則は日本証券業協会の定めた自主規制であり、その違反が直ちに違法となるものではない。同規則九号は本件ワラント取引時点では実施されていなかった。

同規則四号は投資勧誘行為に関する規定ではない。

7  詐欺行為等について

Bの原告に対する右ワラントの勧誘行為が詐欺その他の違法行為と認めるに足りる証拠はない。

三  同二の3の事実は当事者間に争いがない。

四  損害額について

以上によれば被告は、Bの使用者として右ワラント取引に伴う原告の損害を賠償すべき責任のあるところ、本件ワラントの購入代金一〇三八万六一二五円から精算代金計一六万四九九四円を差引いた金一〇二二万一一三一円から、ニチメン・ワラントの売買により得た利益金五三万一三一〇円を差引くと金九六八万九八二一円となる。

他方において、原告は長い投資経験とそれなりの知識と情報を有し、Bからそれなりの説明を受けていたのに右ワラントの取引にあたり、十分な調査研究をしないで安易に転換社債と同様のものと考え取引に応じたものであり、その損害の八割は原告において負担すべきものとするのが相当である。

そうすると原告の負担額は金一九三万七九六四円となる。

五  以上によれば、被告は原告に対し損害賠償として金一九三万七九六四及びこれに対する訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成三年一一月一四日から支払いずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払義務がある。

(結論)

よって原告の被告に対する本訴請求は、損害賠償として金一九三万七九六四円及びこれに対する訴状送達の翌日である平成三年一一月一四日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度において理由があるからこれを認容し、その余の損害賠償請求及び不当利得返還請求は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文、仮執行の宣言及びその免脱宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 塩田武夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例